猫背をやめてみる
― 美しさの全ては姿勢から始まることを知った、あの日 ―
電車でふと出会った小さな子のひとこと。
それはショックだったけれど、同時に「姿勢の大切さ」を思い知らされるきっかけになった。
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衝撃のひとこと
ある日の夕方、わたしはとある駅に降り立った。閑静な住宅地が広がる、緑豊かな駅。人はまばら。
わたしは上りエスカレーターに乗った。
目の前には、手をつないだ母子。
お子さんは「〇〇ほいくえん」と書かれた黄色いリュックを背負っていた。
その光景を微笑ましく思っていたら、その子がふいに振り返り、わたしと目が合った。
マスクをしていたわたしは、優しげな目をつくり、微笑んでみた。
すると、その子が信じられない言葉を発したのだ。
「ママー、うしろにおばあさんがいるよ!」
え?ちょ、ちょっと待って。
うしろにいるのは、わたしだけ。
おばあさんって、わたしのこと?!
固まっていたその瞬間、すかさずお母さんがフォローしてくれた。
「や、やだ!おねえさんじゃない、おねえさんよ!ほんとにごめんなさい!」
「いえいえ…」なんて言いながら、再び微笑み返すわたし。
去っていく親子を見届け、呆然と立ち尽くす。
いったい、わたしのどこがおばあさんに見えたのかしら…。
年齢的には、まだまだ「おばあさん」と呼ばれるには程遠い。
マスクしてたから?
にっこりしすぎて目尻がシワシワになりすぎてた??
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思い出した一冊の本
そんなとき、家にある本の1ページを思い出した。
帰宅してすぐに読み返してみる。
「姿勢は見た目の印象を大きく左右します。同じ年齢でも、姿勢がいいか悪いかで、大きく差がつくものなのです。小さい子どもは大人を見て、『おねえさん』と呼んだり、『おばさん』と呼んだりしますが、どちらの呼び方を選ぶかの判定基準は、顔でも、表情でも、声でもなく、姿勢だといわれています。」
― 『禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本』枡野俊明著(幻冬舎文庫)
姿勢って、そんなに大事だったのね…(涙)。
こういうことも、体感しないとわからないもの。
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姿勢が変わると、すべてが変わる
猫背を矯正すべく、その日からわたしの意識改革とプチトレーニングが始まった。
日々の意識、日々のストレッチ、筋肉を正しくつけていく。
できることを、少しずつ習慣にしていった。
深く呼吸できると、血行がよくなる。
酸素や栄養が体の隅々まで届いて、細胞が元気になる。
肌も明るく、つややハリが増し、体そのものが若返っていく。
つまり、姿勢はすべてを美しくするってこと。
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猫背にさよならして、一日でも長く「おねえさん」って呼ばれる日々を過ごせるよう、
小さな努力を重ねていこうと思う。
Good posture doesn’t just lift your body—it lifts your whole life.
(良い姿勢は、体だけでなく、人生までも引き上げてくれる。)

